しばらく書き込みをしていませんでした。仕事用のブログのネタを一部編集し、お茶を濁しますHi。

半導体は静電気に弱く壊れてしまうものがあります。「静電破壊」という現象ですが、自作の好きな方にとっては当然の話ですね。
ところで、半導体全てが弱いのではありません。

半導体は、構造から大きく分けてバイポーラとMOSがあります。MOSが静電気に弱いのです。
MOSは、最近のデジタルの高集積LSI、マイコン、メモリ、CMOSロジック等があります。アナログではMOS FETがあります。
アマチュア無線で使われる低周波アンプICやワンチップラジオICは、バイポーラです。もちろんトランジスタやTTLも、これに含まれます。
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MOSは、ドレイン-ソース間にあるゲートの電流を、ゲート電極に印加した電圧で制御します。ゲート電極はゲートに直接接触せず、絶縁酸化膜を挟んでおり、ゲート電極からゲートへは電流が流れません。
ドレインからソースへ流れる電流も非常に小さく、バッテリで動作するパソコンや携帯電話等に多数活用されています。

便利なデバイスですが、この絶縁酸化膜が問題です。最近のデバイスは知りませんが、私が知る頃のデバイスは1/100ミクロン前後でした。
(元半導体の技術屋で、製造プロセス技術も担当しました)
1/100ミクロン・・・1/100umということは、10億分の1m、言い換えれば10万分の1mmです。一般の方には想像もつかない数字でしょう。

130209mos-2.gif一方、静電気の電圧は数千から数万Vあります。人体に蓄積されるエネルギーは小さいのですが、車から降りた瞬間や、金属ドアノブに触れた瞬間にショックを感ずることがあります。着衣がこすれあうことで人体に静電気が蓄積されるからです。
人体からGNDへ流れるルートの抵抗が小さいと、図(a)のような大電流が一気に流れて高電圧が放電します。
一方で抵抗を介すると、(b)のように電流は少量で時間をかけて放電します。電圧は抵抗の影響で低く抑えられます。人間の場合はショックを感じずに済みます。

さてMOS半導体の場合も人間と一緒ですが、静電気でストレスを受けます。帯電した人間がデバイスに触れると、電圧の一部が内部回路に加わります。もっとも弱い箇所が上記の絶縁酸化膜です。
酸化膜は破壊し、電流が流れる経路が出来ます。
もちろんデバイスの入力回路には保護回路がありますが、これだけでは不完全です。

某大手リサイクルショップへ行くと、中古品としてパソコン部品が並んでいました。何と透明ビニールで包まれています!ジャンク品のコンテナになると、包装すらない裸のままでした。
摩擦によって静電気がたっぷり発生するので、いつ壊れてもおかしくありません。とても購入しよう、という意欲もありません。
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写真は、先日オークションで入手したパソコンメモリです。これもビニール袋に入って送られてきました。
形式上のおまけジャンクなので許せるのですが、これもいけない事例です。
10年くらい前、CPUを譲ってもらった時は、ナイロンスポンジに刺さっていました。これもアウトです。

新品メモリは青色のビニール袋か赤色のエアークッションに包まれています。これらは帯電防止の素材で出来ており、静電気が発生しません。
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130208mem-4.jpgこれがない場合は、アルミホイルで包みます。
ポイントは、デバイス内で電位差(電圧差)を与えないことで、アルミホイルでデバイス全体を「短絡」すれば良いのです。
130208mem-5.jpgMOS ICを多数利用される方なら、導電スポンジはご存じでしょう。これも足が同電位に保たれるので、破壊を防止できます。

ハンダゴテのACリークという話もありました。AC100Vの一部が、ハンダゴテのヒーター絶縁不良で漏れ、ハンダ付け時にデバイスを破壊する、というものです。
最近は劣悪なコテは無いと思いますが、気になる方は絶縁型のセラミックヒーターのコテをおすすめします。